この記事では、犬の熱中症対策に役立つ食べ物や、水分補給を助ける与え方、避けたい食材を紹介します。
犬の熱中症対策には、ウェットフードやふやかしフード、きゅうり、スイカ、味付けなしのささみのゆで汁など、水分補給を助ける食べ物が役立ちます。
環境省も、ペットの熱中症予防では十分な水、涼しい時間の散歩、室温管理、車内放置の回避を呼びかけています。
また、食べ物では、予防はできますが、治すことはできません。
症状が出たときは食べ物より冷却と動物病院への相談を優先してくださいね。
犬の熱中症対策で食べ物は補助として考える
犬の熱中症対策では、まず水を飲める環境、涼しい室内、散歩時間の調整が基本です。
食べ物は「体を冷やす魔法の対策」ではなく、暑い時期に水分をとりやすくするための補助として考えてください。
食べ物でできるのは水分補給のサポート
犬の熱中症対策に食べ物を使うなら、目的は水分補給です。
たとえば、ドライフードをふやかす、ウェットフードを取り入れる、きゅうりやスイカなど水分の多い食材を与える方法があります。
ただし、食べ物を増やしても新鮮な水の代わりにはなりません。
AVMA(アメリカ獣医学協会)も暑い時期はペットに新鮮な水を十分に用意し、屋外では日陰を確保するよう案内しています。
熱中症の症状があるときは食べ物より冷却と受診を優先する
犬がぐったりしている、激しくパンティングしている、よだれが多い、嘔吐や下痢がある場合は、食べ物で様子を見る段階ではありません。
涼しい場所へ移動し、体を冷やしながら、動物病院へ相談することが大切です。
海外の獣医療機関では、熱中症が疑われるペットには涼しく風通しのよい場所へ移動し、少量の水を勧める一方で、無理に飲ませないことも示しています。
意識がない犬や吐いている犬に、食べ物や水を無理に与えるのは避けましょう。
犬の熱中症対策に取り入れやすい食べ物5つ
暑い時期の食べ物は、犬が安全に食べられること、消化に負担が少ないこと、余計な塩分や糖分を含まないことが大切です。
以下は、日常の水分補給を助ける目的で取り入れやすい食べ物です。
| 食べ物 | 期待できること | 注意点 |
| ウェットフードやふやかしフード | 食事と一緒に水分をとりやすい | 急に切り替えず少量から始める |
| きゅうり | 水分が多く低カロリー | 小さく切り、与えすぎない |
| スイカ | 水分が多く夏のおやつにしやすい | 種と皮を取り除く |
| ゆでたささみとゆで汁 | 食欲が落ちたときに香りで誘いやすい | 味付けをしない |
| 冷凍した犬用おやつ | 暑い日の気分転換になる | 丸飲みや食べすぎに注意 |
表の食べ物は、あくまで健康な犬の普段の暑さ対策として使うものです。
熱中症の症状があるときは、食べ物よりも冷却と受診判断を優先してください。
ウェットフードやふやかしフード
普段ドライフードを食べている犬には、ぬるま湯でふやかす方法が取り入れやすいです。
いつものフードを使えるため、急に新しい食材を増やすよりも胃腸への負担を抑えやすくなります。
水をあまり飲まない犬には、食事に水分を足す工夫が役立つ場合があります。
ただし、ふやかしたフードは傷みやすいため、暑い季節は長時間置きっぱなしにしないでください。
きゅうり
きゅうりは水分が多く、低カロリーなおやつとして使いやすい食材です。
アメリカンケネルクラブ(※)は、きゅうりを犬に与えられる食材としつつ、食べすぎによる胃腸不調や丸飲みによる窒息リスクを避けるため、小さく切って与えることを勧めています。
小型犬や早食いの犬には、薄切りや細かい角切りにして与えると安心です。
ただし、漬物や味付きのきゅうりは塩分が多いため、犬には与えないようにしましょう。
スイカ
スイカは水分が多く、暑い時期のおやつとして取り入れやすい果物です。
アメリカンケネルクラブ(※)は、犬にスイカを与える場合は種と皮を取り除くこと、スイカを含むおやつは食事全体の10%以内にすることを案内しています。
与えるのは赤い果肉部分だけにして、ひと口サイズに切ることが大切です。
糖分も含むため、体重管理中の犬や糖尿病などの持病がある犬は、事前に獣医師へ相談してください。
ゆでたささみとゆで汁
食欲が落ちやすい夏は、味付けをしていないゆでたささみを少量使う方法もあります。
ゆで汁を少しフードに混ぜると香りが立ち、水分も一緒にとりやすくなります。
玉ねぎ、にんにく、塩、しょうゆ、だしの素などは使わないことが前提です。
体調が悪いときに無理に食べさせるのではなく、普段の食事の範囲で食欲を支える工夫として使いましょう。
冷凍した犬用おやつ
スイカを小さく切って凍らせる、犬用の知育トイに水分を含む食材を入れて冷やすなど、冷たいおやつを使う方法もあります。
アメリカンケネルクラブ(※)も、犬用の冷凍おやつとしてスイカや無糖ヨーグルトを使う例を紹介していますが、甘い果物は量を考えて与える必要があります。
氷や冷凍おやつは丸飲みしない大きさと硬さに調整しましょう。
歯が弱い犬、シニア犬、胃腸が弱い犬には、硬すぎる冷凍おやつは避けた方が安心です。
※アメリカの犬関連団体の名称
犬に食べ物を与えるときの注意点5つ
犬の熱中症対策として食べ物を使う場合、安全性の確認が欠かせません。
水分が多い食べ物でも、与え方を間違えると下痢、嘔吐、窒息、栄養バランスの乱れにつながることがあります。
初めての食材は少量から試す
犬によって合う食材と合わない食材は違います。
一般的に犬が食べられるとされる食材でも、初めて与えると下痢や嘔吐を起こすことがあります。
最初はひと口より少ない量から試し、便や食欲の変化を確認しましょう。
特に子犬、シニア犬、胃腸が弱い犬は、暑さだけでも体調を崩しやすいため慎重に進めてください。
種や皮や芯は取り除く
果物や野菜を与えるときは、種、皮、芯を取り除くことが基本です。
スイカの種や皮は腸閉塞や胃腸不調の原因になる可能性があるため、赤い果肉部分だけを小さく切って与えます。
食べられる部分だけを選ぶことが、暑さ対策以前の安全対策です。
犬が丸飲みしやすい形や大きさも避け、体格に合わせて切りましょう。
味付けや人間用の加工食品は避ける
犬に与える食べ物は、基本的に味付けなしが安全です。
人間用のスープ、アイス、ゼリー、味付きヨーグルト、漬物などは、塩分、糖分、甘味料、香辛料が含まれることがあります。
特にキシリトール、玉ねぎ、にんにくを含む食品は犬に危険です。
AKCも、玉ねぎは犬の赤血球に影響し、重い中毒につながる可能性があるとして注意を促しています。
おやつは食事全体の一部として調整する
水分補給のつもりで果物や野菜を増やしすぎると、主食を食べる量が減ることがあります。
結果として、必要な栄養が不足したり、糖分や食物繊維のとりすぎでお腹を壊したりする可能性があります。
食べ物による暑さ対策は、主食を置き換えるものではありません。
スイカやきゅうりなどを使う場合も、普段の食事量やおやつの量に合わせて調整してください。
持病がある犬は獣医師に確認する
心臓病、腎臓病、糖尿病、尿石症、アレルギー、肥満などがある犬は、食材選びに注意が必要です。
水分を増やすこと自体は大切でも、食材に含まれる糖分、カリウム、たんぱく質、塩分が問題になる場合があります。
持病がある犬の熱中症対策は、食べ物よりも獣医師に合った管理方法を確認することが優先です。
自己判断で手作り食や大量の果物を追加しないようにしましょう。
犬の熱中症対策で避けたい食べ物と飲み物
暑い時期は「冷たそう」「水分が多そう」という理由で、人間用の食べ物を犬に与えたくなることがあります。
しかし、犬にとって危険な食材や、熱中症対策として適さない飲み物もあります。
ぶどうやレーズンなど犬に危険な食べ物
ぶどうやレーズンは犬に与えてはいけない食べ物です。
AKCは、ぶどうとレーズンは犬に強い毒性があり、急性腎不全につながる可能性があるとしています。
少量でも危険になる可能性があるため、暑さ対策のおやつには絶対に使わないでください。
また、アボカド、玉ねぎ、にんにく、チョコレート、アルコールを含むものも避けましょう。
スポーツドリンクや人間用アイス
人間用のスポーツドリンクやアイスは、犬の熱中症対策として基本的におすすめしません。
糖分、塩分、甘味料、乳成分、香料などが含まれ、犬の体に合わない場合があります。
水分補給の基本は、新鮮な水をいつでも飲めるようにすることです。
飲みが悪い場合は、味付き飲料でごまかすより、フードをふやかす、器を変える、水の場所を増やすなどの工夫から始めましょう。
食欲がないときに無理に食べさせること
暑い日に食欲が落ちる犬もいますが、ぐったりしている、呼吸が荒い、吐いている場合は注意が必要です。
その状態で食べ物を無理に口へ入れると、誤嚥や窒息のリスクがあります。
熱中症が疑われるときは、食べさせることより体を冷やして受診する判断が大切です。
PDSAも、重い熱中症では臓器へのダメージや入院治療が必要になる場合があると説明しています。
食べ物以外で必ず行いたい熱中症対策
犬の熱中症対策は、食べ物だけでは不十分です。
食べ物で水分を補うよりも、暑さを避ける環境づくりの方が重要です。
水をいつでも飲める環境にする
犬が自分のタイミングで水を飲めるように、複数の場所に水を置くと安心です。
外出時は携帯用ボトルや折りたたみボウルを用意し、散歩中にもこまめに水を飲めるようにします。
水の器は清潔にし、ぬるくなった水は入れ替えましょう。
水を飲む量が急に増えた、反対にまったく飲まないといった変化がある場合は、暑さ以外の体調不良も考えられます。
散歩は涼しい時間に変える
夏の日中の散歩は、熱中症だけでなく肉球のやけどにもつながります。
環境省は、夏の日中の散歩や外出を避け、早朝や夜など涼しい時間帯にするよう案内しています。
地面を手で触って熱いと感じる時間帯は、犬の散歩を避ける判断が必要です。
短頭種、シニア犬、肥満気味の犬、心臓や呼吸器に不安がある犬は、特に無理をさせないでください。
室温と湿度を管理する
室内でも熱中症は起こります。
犬は人より体高が低く、床付近の熱や湿気の影響を受けることがあります。
エアコンや除湿を使い、犬が涼しい場所へ移動できる環境を整えましょう。
風通しがあるように見えても室温が上がることがあるため、留守番中は温度計を置いて確認すると安心です。
車内に犬を残さない
短時間でも、犬を車内に残すのは危険です。
環境省は、冷房の効いていない車内はわずかな時間でも非常に高温になるため、短時間でもペットと一緒に行動するよう呼びかけています。
窓を少し開けているだけでは、車内の暑さ対策として不十分です。
買い物や休憩の短い時間でも、犬を車内に残さない計画を立てましょう。
犬の熱中症対策で食べ物を使うときの判断表
犬の状態によって、食べ物を使ってよい場面と避けるべき場面は変わります。
迷ったときは、以下の表を目安にしてください。
| 犬の状態 | 食べ物での対策 | 優先する対応 |
| 元気で食欲もある | 水分の多いおやつを少量使える | 水、室温管理、涼しい時間の散歩 |
| 水をあまり飲まない | フードをふやかす工夫は候補 | 水飲み場を増やす、器を変える |
| 食欲が少し落ちている | 消化しやすい食事を少量にする | 涼しい環境で休ませる |
| 激しく呼吸している | 食べ物は与えない | 涼しい場所へ移動し体を冷やす |
| ぐったり、嘔吐、意識がない | 食べ物も水も無理に与えない | 体を冷やしながら動物病院へ |
食べ物を使ってよいのは、基本的に犬が元気で、普段の暑さ対策として水分をとりやすくしたいときです。
異変がある場合は、食べ物で様子を見るのではなく、早めに動物病院へ相談しましょう。
犬の熱中症対策と食べ物でよくある質問
犬の熱中症対策に食べ物を取り入れるときは、安全な食材だけでなく、与えるタイミングの判断も大切です。
犬の熱中症対策に一番おすすめの食べ物は何ですか?
まずは、いつものフードを水でふやかす方法が取り入れやすいです。新しい食材を増やすより胃腸への負担を抑えやすく、食事と一緒に水分をとりやすくなります。
犬にスイカを毎日与えても大丈夫ですか?
スイカは種と皮を取り除けば犬が食べられる果物ですが、糖分も含みます。毎日たくさん与えるのではなく、暑い日の少量のおやつとして考えましょう。
犬に氷を与えると熱中症対策になりますか?
氷だけで熱中症を防げるわけではありません。小さく砕いた氷や冷凍おやつを気分転換に使うことはできますが、丸飲みや歯への負担に注意してください。
犬が水を飲まないときはスポーツドリンクを飲ませてもよいですか?
人間用のスポーツドリンクは糖分や塩分が含まれるため、自己判断で常用するのは避けましょう。水飲み場を増やす、フードをふやかす、器を変えるなどから試すのがおすすめです。
熱中症っぽい犬に食べ物を与えてもよいですか?
ぐったりしている、呼吸が荒い、吐いている、意識がぼんやりしている場合は食べ物を与えないでください。涼しい場所へ移動し、体を冷やしながら動物病院へ相談しましょう。
犬の夏バテと熱中症はどう見分ければよいですか?
軽い食欲低下だけなら暑さによる疲れの可能性もありますが、激しいパンティング、よだれ、嘔吐、下痢、ふらつき、ぐったりする様子があれば熱中症の可能性があります。迷う場合は早めに動物病院へ相談してください。
犬の熱中症対策に食べ物を使うなら水分補給の補助として考えよう
犬の熱中症対策で食べ物を使うなら、目的は水分補給です。
ウェットフード、ふやかしフード、きゅうり、スイカなどは取り入れやすい食材ですが、熱中症を治すものではありません。
与えるときは、少量から試す、種や皮を取り除く、味付けをしない、主食の栄養バランスを崩さないことが大切です。
持病がある犬やシニア犬は、食材を増やす前に獣医師へ確認すると安心ですよ。
ぐったりしている、呼吸が荒い、嘔吐や下痢がある、意識がはっきりしない場合は、食べ物で対策する段階ではありません。
涼しい場所へ移動し、体を冷やしながら、動物病院に相談してくださいね。
